
先生になるために必ず通らなければならないのが教育実習です。
実習生にとっては、毎日が緊張と不安で本当に自分との戦いの日々でもありますね。
そんな実習では、絵本の読み聞かせをする場面がたくさんあります。
ここでは、幼稚園の教育実習について、実習生必見の絵本の選び方、お悩み解決など、実習中も実習前も役立つ情報をたくさんご紹介していきます。
もくじ
幼稚園の教育実習って何?

幼稚園教諭を目指す学生さんにとって、最大の試練である教育実習。
幼稚園教諭になるためには、この実習を乗り越えなければなりませんね。
実際に、保育の現場に行くと先生たちの動きや子どもとの関わり方を間近で学ぶことが出来るので、自分がどういう保育をしていきたいか、本当に幼稚園教諭として働きたいかなど、今後の道を明確にすることが出来ます。
では、具体的に幼稚園の教育実習とはどんなものなのかを詳しくご紹介していきます
幼稚園の特色・目的
幼稚園教諭の仕事は、満3歳以上の子どもたちを対象に、小学校以降の教育の基礎を作っていく幼児期の教育です。
これから実習を行うみなさんは、自分が行く園がどんなタイプの園なのか、まだ実習先が決まっていない人は、自分がどんなタイプの園で実習したいのかを知る必要があります。
主に以下のタイプに分けられます。
・知育教育・先取り教育であまり自由遊びが少ないお受験型
・子どもや保育の自由度が高く、障害児の受け入れも積極的な自由保育型
・「園オリジナルの教育方法」が確立している過去継承型
・海外の教育思想を取り入れたインターナショナルな海外メゾット型
・◯◯式、はだし教育など脳や発達の効果を詰め込む国内メゾット型
・特に売りはないが、自由保育も一斉保育もほどほどに行うバランス型
ざっと見ただけでも、園によってタイプやカラーは全然違いますね。
少子化の中で、いかに園オリジナルやその園だけの特色を見いだせるかが、生き残りをかけた勝負所とも言えます。
そこで働く先生たちのチームワークや雰囲気については、実際に現場で先生たちと関わることで知れる場合が多いので、とても良い教育でも先生の人間関係が良好かと言えば、そうとも言い切れないのが幼稚園事情です。。
また、幼稚園の目的としては以下の内容となっています。
・保護者の希望で教育を受けさせたい子どもが通う
・利用にあたって保護者の制限はなし
・3歳〜5歳の子どもを預かる
・園によって午後や土曜、長期休み中の預かり保育を実施する
・給食の提供は調理室設置の基準がないため、園によって異なる
・幼稚園教諭として働くためには幼稚園教諭免許状が必要
目的は、教諭を目指す一人として最低限知っておかなければならないことです。
よく、幼稚園と保育園を同等に認識している人もいますが、特色も目的も全く異なりますので、よく確認しておきましょう。
実習期間
幼稚園実習は一般的に4週間と定められています。
4週間通して実習を行うか、2週に分けて行うかは、各大学や専門学校などによって規定が異なります。
4週間通して実習をする場合は、最終学年の4月〜10月の間に行います。
園によって、行事や繁忙期が異なるので実習生を受け入れられる時期は様々です。
約1ヶ月、毎日実習に行くので心身ともに疲労困憊しやすいですが、子どもたちとの距離も縮まり、関わりを深く持てるようになります。
2週に分けて実習をする場合は、1回目は3年の秋、2回目は4年の春に分けられることが多いです。
短大や専門学校だと、1、2年次で実習を行う場合や2年次にまとめて行う場合があります。
園の教育方針・理念を理解する
自分がどんな園で実習をするのかを知る上で、最も大切なことはその園の教育方針や思念、大切にしていることを、しっかりと自分の中で理解しておくことです。
どんな園にも、教育方針や理念があります。
そのためにどんな取り組みをしているのか、先生たちはどんなことを心がけているのか、実際に実習の打ち合わせや見学のときに園長先生とのお話で理解を深めて、園のHPなどでも詳細が掲載されていることが多いので、よくチェックしておきましょう。
これは、実習が終わって就職活動をするときに自分が働きたい園を探す上での重要なポイントになります。
先生たちや保護者も、園の方針や理念を理解して、それに伴った行動をしているかどうかも、しっかり見ておく必要があります。
実習に役立つ絵本の選び方・読み方

いざ実習が始まったり間近に近づくと、実習生は色々と準備しなければいけないことがありますね。
中でもどんな園で実習しても必ず行うのが絵本の読み聞かせです。
絵本教育に力を入れているところであれば、園内に図書室があって子どもが貸し出しできる時間を設けていたり、本の種類が豊富な園などがあります。
部分実習でも、絵本の読み聞かせを任されることは多いはずです。
そこで、実習生としてどんな絵本を選べば良いのか、いざ子どもの前に立ったときどんな風に読み聞かせすれば良いのかをご紹介していきます。
年齢に合った絵本
幼稚園の場合、3歳〜5歳までの子どもがいます。
3歳児の場合は、簡単なストーリーで誰が見ても分かりやすい絵本を選びましょう。
文章は短く、分かりやすい絵の内容になっていると、子どもは理解しやすいです。
3歳児に大人気のおすすめ絵本は、長 新太/作 『キャベツくん』です。
キャベツくんとブタヤマさんのおもしろおかしいストーリーは、子どもが爆笑すること間違いなしです。
素朴なイラストが可愛らしくて、幼稚園時代に1度は読み聞かせしてもらったことがあるのではないでしょうか。
4歳児の場合は、少しずつ絵本の世界と現実の違いを理解できるようになってきます。
生活においても、何でも自分で出来るようになってくる時期で、色んな角度からの想像力や発想力でお話を聞けるようになります。
おすすめの一冊は、方 軼羣/作 『しんせつなともだち』です。
分かりやすい内容と、繰り返される言葉でとても心温まるお話です。
相手の立場を想像して行動することで親切な心が生まれるという、まさに4歳の発達で目覚ましい部分が描かれています。
落ち着いた色使いも、子どもの色彩感覚を豊かにしてくれるでしょう。
5歳児の場合は、一気に語彙力や表現力が増えてきて、自分の言葉で相手の立場を考えて物事を伝えることができます。
ストーリー性のある長い絵本でも、最後まで集中して聞けます。
自分で文字を読めるようになってくるころなので、絵だけでなく文字を追いながら、絵本を楽しめるようになってきます。
そんな5歳におすすめの絵本は、時田 史朗/再話『浦島太郎』です。
日本には数々の昔話があります。
現代の子どもには絵を見ても想像つかないような世界が広がっているので、理解が難しいと考えがちですが、今の日本とは違った昔の古い日本語や世界観を感じられるのです。
時空を超えて絵本の世界にのめり込んでしまうような世界を持つ昔話は、読者の想像力や発想力によって捉え方や感想も様々です。
子どもたち自身が聞いてどんな感情を抱くのか、その思いを大切にしていきたいですね。

子どもの注目を集める読み方
絵本を読み聞かせするときは、子どもたちに静かに集中して聞いてほしいなと思いますよね。
それは、先生の読み方一つで変わってきます。
まずは、通る声ではっきりゆっくり読むこと。
緊張してしまうと、つい早口になったり声が小さくなってしまうことないですか。
読み聞かせは上手に読む必要はないのです。
子どもたちにしっかり内容が伝わるように、分かりやすく読むことが大切です。
また、必死になっていると絵本の文章ばっかり見てしまって、聞いている子どもたちの様子を全く見ていない実習生がとっても多いです。
読むことに集中しているのは良いのですが、もし飽きた子どもがいて友達にちょっかい出したり、うろちょろしていたら、先生が気づけなければなりません。
ときどき、子どもの表情や様子を見て、語りかけたりすることで、より子どもが絵本の世界にのめり込めます。
子どもが集中できる場所
実習生が絵本の読み聞かせをする場所と言うと、だいたいは保育室でしょう。
しかし、図書室があったり室内でも広場のようなくつろげるスペースがある園なら、場所を変えるだけで子どもはうんと集中して聞いてくれます。
いつもの保育室でも座る位置をずらしたり、ちょっとした工夫で「いつもと違う」という変化が子どもをより集中させます。
保育室以外で読み聞かせをしたい場合は、必ず担任の先生に確認してから行いましょう。
実習生に多い読み聞かせ時のお悩み

いよいよ実習を迎える学生のみなさんにとって、不安や悩みはたくさんあることでしょう。
実習前に抱える悩みや実習中に発生するあらゆるお悩みの中から、特に実習生から多い悩みを解決していきますよ。
実習中の学生さんも、これから実習に行く人も必見です。
子どもが絵本に集中してくれない
子どもにとっていつもと違う先生が来て、その先生が前に立ってもなかなか指示通りに動いてくれないことはよくあります。
実習生にとっても、初めての経験で戸惑いは大きいですが、まだ卵とはいえ先生という立場に立って子どもの前にいる以上、こちらがおどおどしていては、子どもはもっとどうしたら良いか分かりません。
また、実習生のあなたが子どもたちに読んであげたい絵本と、子どもが面白いと思う絵本は違います。
なので、例えば一番最初は子どもたちも馴染みのある普段から読んでいる絵本や、担任の先生に聞いて子どもたちが気に入っている絵本から導入していくと良いでしょう。
最初に子どもの興味を一気に惹きつけて、そのあとに違う絵本を読んであげると「今度はどんな絵本かな」と子どもも興味を持ってくれるようになりやすいです。
また、絵本に集中していないのではなく、絵本を読む前から子どもたちのテンションが高いまま始めてしまったり、うるさいのに静かにならないからと言って始めてしまってませんか。
まずは、きちんと絵本を読む時間という認識を一人一人に持たせることから始めなければなりません。
そのためには、読む前にお歌を歌ったり、手遊びなどを導入することも効果的ですね。
絵本の内容に関連した導入なら、尚子どもを絵本の世界に引き込めるでしょう。

絵本を読み終えた後はどうすれば良い?
これは実習生のお悩みで特に多いのですが、絵本を読み終わったあとは子どもたちが一気におしゃべりし出したり、せっかく静かにしていたモードが読み終わった瞬間終わる・・・なんて嘆いていませんか。
絵本を読み終わったあとは、大人が絵本の内容の簡単な説明や感想を言うのはあまり良くありません。
子どもは、自分の頭の中で想像力や発想力をたくさん使って自分なりに感じ取ったイメージや感想を持っています。
大人の意見は子どもにはそんなに必要ではないのです。
大切なのは、子どもたちに問いかけることです。
あまり1から振り返るのもおすすめしないですが、子どもたちの想像の中でどんなことが起こっているのかなというのを引き出せるような問いかけをすることで、自分が感じたことをたくさん話しかけてくれるでしょう。
子どもからの絵本の内容についての質問や意見はしっかりと受け止めてあげましょう。
そして、読み終わってからの余韻は、あまり長すぎてもいけません。
もう終わったから早く次の行動に移りたいと思っている子も多いですから、簡単に素早く終わらせて、次の活動に取り掛かりましょう。
読むときは感情を込めて喋り方を変えた方が良い?
絵本の読み聞かせってただ絵本を読めば良いのではありませんね。
色んな世界観やキャラクターが登場するので、先生というのは絵本の世界を広げすぎず、無視しすぎず読まなければなりません。
ただし、感情を込めすぎたり、声を変えすぎるのはあまり良くないとも言われています。
絵本の読み聞かせでは、聞いている子どもたちが「このうさぎさんは女の子だから可愛い声」など、絵を見て声も想像して聞いているのです。
なので、先生は極端にキャラクターになりきらなくて良いです。
女の子に見えても、男の子だと思ってその世界に入り込んでいる子もいます。
声よりも大切なのは表情です。
思いっきり笑っているところでは、先生もお腹を抱えてゲラゲラ笑います。
子どもは「先生とっても面白そう」とつられて一緒に笑ってくれます。
怒っているときは、先生も怖い顔で怒ります。
表情を変えることで絵本の世界をより子どもに分かりやすく伝えることができますよ。
子どもって、絵本だけを食い入るように見てるかと思いきや、しっかり先生の表情も見ているのです。
幼稚園にある絵本を使っても良い?
どの幼稚園にも、絵本はたくさん置いてあると思います。
実習生も自由に貸し出し可能な場合は、園の絵本を借りても良いでしょう。
借りる場合は、早めに借りておいて自分で読み聞かせの練習をする時間の余裕を持てると良いですね。
実習生の中には、自分で何冊か絵本を購入して、何度も読む練習をしてから実習に臨む人もいるようです。
幼稚園に就職してからも、自分で絵本を持っている先生は多いので今後にも役立ちそうですね。
学校の図書館に絵本があれば借りておくのもおすすめです。
園によって絵本の取り扱いは様々ですので、担当の先生によく確認しておきましょう。
実習生が読み聞かせ前にやっておくべきこと

実習先が決まると、実習生としてやっておくべきことの準備を始めましょう。
どの園に行っても必ず読み聞かせはするし、先輩の先生たちの読み聞かせを聞いて学ぶチャンスでもあります。
自分にとってよりよい実習にするためにも、できる準備は万全にしておきましょう。
季節・年齢・場面に合った絵本選び
絵本を自分で用意していく場合、実習に行く時期やどんな行事が近いかなどによって、絵本を選ぶことをおすすめします。
夏に行く場合は、プールや夏休みなど夏に関連した絵本を選んでみましょう。
また、運動会など大きな行事前で普段の保育のイレギュラーなことが多い時期は、実習生を入れないことが多いですが、行事前に実習する場合はその行事に関連した絵本を読むと、子どもたちのやる気もあがります。
また、絵本だけでなく紙芝居を読みたい場合は、絵本とは異なる読み方やストーリーの展開の仕方があるので、担任の先生に事前に相談してからにしましょう。
読み聞かせの練習
これまでも何度も言ってきましたが、読み聞かせの練習はしないよりは絶対にしておいた方が良いです。
いきなりぶっつけ本番で子どもの前で読むとなると、どんな風に表現すれば良いのか分からない箇所や子どもの発言に答えられない可能性があります。
まずは、自分自身が絵本の世界に入って十分に理解することが大切ですね。
読むことに夢中になっていると、絵本の向きが自分の方に偏ってしまったり、子どもの目線で見えにくくなってしまうことがよくあります。
実習中は聞き手の側になって学べることが多いので、どんな風にしたら子どもが見やすいかなと考えながら実践してみてくださいね。
読み聞かせ前の導入
部分実習で読み聞かせを任されたとき、いきなり絵本を開いても子どもの集中は集まりにくいでしょう。
絵本の前には、心を落ち着かせて楽しい世界に入り込めるように、手遊びを導入することが多いです。
簡単で最後は静かになれるような手遊びはたくさんあるので、いくつか覚えておくと便利です。
まとめ

幼稚園の教育実習は4週間あるので、こんなに長い期間やりきれるかな・・・と不安になってしまいそうですよね。
しかし、先生たちもみんなこの実習を乗り越えて素敵な幼稚園の先生になりました。
本当に先生になりたいんだという強い意志があれば、きっと大丈夫です。
絵本の読み聞かせや子どもの前に立つのって、相手が子どもだとしても最初はすっごく緊張してしまうものです。
子どもは、先生の表情や言動を敏感に感じ取っているので、子どもの前ではいつも笑顔で明るく過ごしましょう。
全ての実習生のみなさんが、素敵な先生になれることを願っています。